最近の仕事│ちきりん「マーケット感覚を身につけよう」書籍表紙イラスト+本文図版デザイン

月間200万PVの有名ブロガー・ちきりんさんの新刊「マーケット感覚を身につけよう」(ダイヤモンド社)が発売されます。こちらの表紙イラスト、本文の図版デザイン+イラストを担当しました。打ち合わせでは、ちきりんさんともお会いすることができました。


2011年に発売され、11万部のベストセラーとなった前作「自分のアタマで考えよう」では、表紙イラストのみを担当しましたが、今回は表紙と本文両方を担当しました。

 

本書で言う「マーケット」とは「市場(しじょう)」のことです。


マーケット感覚とは「社会の動きがこれからどうなるのか」「いま何がいくらで売れるのか」などがわかるアンテナやセンサーといえるもの。市場化が進む社会においてキーとなるこの新しい概念を、多様なビジネスと社会的事例を知る著者ならではの筆致で解説する。(ダイヤモンド社WEBサイトより)

 

ちきりん/マーケット感覚を身につけよう(ダイヤモンド社)

 

マーケット感覚を身につけよう(著者:ちきりん)ダイヤモンド社

 

編集は「統計学が最強の学問である」を手掛けた横田大樹さん。ブックデザインは「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を手掛けた萩原弦一郎さんです。

 

ちきりんさんとお会いしました

 

ちきりんさんと言えば経歴も素性も謎なのですが、「打ち合わせでイラストレーターさんも参加してほしい」とのご要望があり、特別にお会いすることができました。ちきりんさん、編集の横田さんからご承諾をいただきましたので、打ち合わせの様子をご紹介します。

 

ブログでは、いつも歯に衣着せぬ物言いですし、失礼ながら「かなり厳しい方なのかな?」とお会いするまで緊張していたのですが、ご本人はいたって穏やかな方でした。最初の20分は世間話をして和やかなムード。

 

 

しかし、打ち合わせが始まると、ちきりんさんのアタマの回転の速さに圧倒されました。マーケットについて説明しながら、ホワイトボードにざっくりとラフを書いていき、そこから僕と編集の横田さんも交えて、どうゆう見せ方が良いか考えていきます。

 

 

読者が理解しやすいの大前提として情報を整理、さらに噛み砕いて表現するのがイラストを用いた図版(インフォグラフィック)の難しいところですし、魅力でもあります。

 

14時から始まり、終わったのが21時。実に7時間。これだけ長いと途中で眠くなりそうですが、意外と眠くなりませんでした。それだけ話が面白かったんです。市場経済の基本についての個人講義を受けている感じでした。

 

お恥ずかしい話、私は高校時代は絵を描くのに没頭するあまり、一切勉強してきませんでした。しかし、イラストレーターとしてビジネス書に関わるようになり「そもそも経済って何なん?」と思っていたので、最近になって高校生向けの経済学の本地域活性化の本などを読むようにしていました。あと「イラストレーターとか職業の価値観って変わるじゃないかな?」とも思っているので、ちきりんさんの話は、まさに自分が興味ある部分と合致したわけです。

 

すごく贅沢な時間でした。役得ですね。

でも、さすがに終わったあとは3人ともグッタリ…。



 

ちきりんさんのラフから図版が完成するまで

 

この打ち合わせでちきりんさんが描かれた図版のラフから、どうやって完成まで至ったかをちょっと説明します。下が実際にちきりんさんがホワイトボードに描かれたラフです。あとで分かるように、一部私のメモ書きも入っています。最初は、ここからスタート。

 

 

ちきりんさんのラフを基にして、僕が下絵になるラフを描いていきます。打ち合わせでの話や原稿の中からポイントになるテキストも加えて整理していきます。

 


ちきりんさんにチェックしてもらった後に、修正指示を反映させながら本番制作します。そして、完成したのが下の図版。本文にはイラストで見やすくした図版が29点あります。


 

ちきりんさんの文章自体は、難しい専門用語は使っていないので読むだけでも分かりやすいのですが、イラストを使った図版を用いることで視覚的にも分かりやすくなっています。

 

当然ながら、私自身がマーケット感覚の初心者。ちきりんさんから「良知さんが分かるかどうかを基準にしましょう。」と言われまして、まさかの「読者代表」です。しかし、インフォグラフィックは「分かりやすい」が基本ですから、そこを重視して作りました。

 

 

一読者としての感想

 

余談ですが、私には7歳の娘がいます。誰でも覚えがあると思いますが、失敗を怖がるんです。私もそうです。そこで、ちきりんさんの原稿の一節から「成功と失敗」についての話をしました。

 

すべては失敗から始まり、少しずつ成功に近づいていきます。その過程で鍵となるのが、失敗から得られる学びです。つまり、チャレンジの結果が成功と失敗に分かれるのではなく、失敗とはスタート地点から成功までの途中に存在する学びの機会なのです。(5章「マーケット感覚を鍛える5つの方法 - 失敗と成功の関係を理解する」より)

 

これを子供のために更に噛み砕いて話をしたら、彼女なりに理解してくれました。小学生の頃に担任の先生から「失敗は成功の素」と教わりましたが、それは大人でも同じです。

 

終章には、こんな一節がありました。

 

これから親が子供に伝えるべきことは、特定の資格や専門性を勧めることでも、ましてや特定の企業を目指させることでもありません。そんなことより、変化は恐れるものではなく、楽しむものなのだと身をもって教えてあげましょう。(終章「変わらなければ替えられる - 親から子供に伝えるべきこととは?」より)

 

これ、考えさせれられました。私は、企画の内容に合わせてイラストのタッチ(画風)を描き分けていますが、これも「変化」です。それに対しては恐れもないし、不安もありません。逆に1種類のタッチのみを売りにしているイラストレーターの方が、変化に対して不安なんじゃないでしょうか。

 

先述の通り、この先職業としてのイラストレーターの価値観も変わるでしょう。伝統技術の職人にしても、今持っている技術を今の時代に合った柔軟な活かし方ができるでしょうし、イラストレーターにしても同じことが言えると思いました。

 

ダイヤモンド社の横田さんから今回のお仕事をいただいた時に「マーケット(市場)」という言葉からビジネス要素が強いものだと思っていましたが、マーケット感覚は普段の生活の中からでも捉えられるものでした。変化に対する柔軟性、先入観に囚われない新しい価値観が見えました。いろんな方に読んでいただきたいです。

 

【参照:Chikirinの日記「これから必須になる能力 マーケット感覚」】