著作権│著作権とは何か 文化と創造のゆくえ

弁護士・福井健策氏の「著作権とは何か 文化と創造のゆくえ」を読みました。著作権の入門書っぽいタイトルですが、全体的には、過去の著作権侵害裁判を例に、どこまでが引用として認められるか?どこからが著作権侵害となるかについて詳しく解説しています。


福井弁護士は、骨董通り法律事務所の代表であり、ニューヨーク州弁護士でもあります。クリエイティブ業界、エンターテイメント業界の知的財産に関する法律業務を多く行っている弁護士なだけに、現代アートから、マンガ、アニメ、音楽まで幅広い内容で実に読み応えがありました。

 

著作権とは何か-福井健策

 

「脱ゴーマニズム宣言事件」に見る、著作権法第32条「引用」の定義

 

僕が一番印象的だったのは、第4章4項の「引用」の項、「脱ゴーマニズム宣言事件」です。漫画家の小林よしのり氏のマンガ「ゴーマニズム宣言」を批判的に批評した上杉聡氏の著書「脱ゴーマニズム宣言」の中で、小林氏のマンガの一部を引用しているのですが、それが著作権の複製権侵害となるのか?それとも著作権法第32条が定める正当な引用なのか?について争われた裁判です。

(※Wikipedia「脱ゴーマニズム宣言事件」参照)

 

判決から言うと、上杉氏一部勝訴となりマンガの引用が認められています。上杉氏の引用は、著作権法の定める引用に沿ったものでした。

 

・小林氏の作品と自分の作品を明確に区別している。
・主従関係も守られている。
・報道、批評、研究を目的としている。

 

加えて判決では、上記を満たせば引用者が「必要と考える範囲内」で行って良く「必要最低限」でなくても良い。更には「マンガは絵と文が不可物一体のものだから、絵と文を共に引用する必要があった」とされています。

 

絵の「引用」について著作権法の文章では曖昧に感じていたのですが、この判例を読んで「引用の基準」が明確になりスッキリしました。もちろん「これは引用だからOK!」と言えば、何でも他人の著作物をネットにアップして良いという訳ではありません。

 

この判例以外にも、非常に勉強になる内容です。ただし、基本を踏まえてから読むことをお勧めします。更に著作権を知りたい方には良書です。