【プロの心得】問題は「引き出しが多い事」ではなく「整理できない事」

僕が29歳の頃の話です。ある展覧会のオープニングパーティの二次会で、超ベテランのイラストレーターの方と同席になりました。同席させて頂いた流れで僭越ながら僕のポートフォリオを見て頂いたのです。そりゃあもう、大変恐縮しながら。そこで、戴いた言葉は…


「私は、100コ引き出しある人間は信用できん!彼は、すでに50コもある!」

 

この言葉に、すっかり面食らってしまいました。それは、見せたポートフォリオにはイラストのタッチが複数あったからなのです。たしか5種類くらいだったでしょうか。

 

その言葉を戴き、恐縮しつつも、ちょっと納得いかない気持ちも湧きました。なぜなら、複数のタッチを持っている事が悪いことであるかの様に自分には聞こえたからです。(もちろん、表には出しませんでしたけど…)

 

引き出しが多いことは決して悪い事ではないと、僕は思います。引き出し多さから、幅広い仕事に結び付いているのは確かですし、クライアントとの打ち合わせで、その案件に合ったイラストを提案できるのは、このたくさんある引き出しのお陰です。だから、引き出しを増やしていく事自体は、決して悪い事ではないと思います。

 

ただ、引き出しが多い事よりも問題視する部分は別にあります。それは、無計画、無尽蔵に引き出しを増やし、尚かつ、自分で整理ができていない事です。

 

どんなに引き出しが多くても、どこに何があるのか、そして、そのイラストがどんな場面で、どんな媒体に適しているのかを把握できていなければ、多くの引き出しは何の意味も持ちません。



ポートフォリオを定期的に整理して、現状を可視化する

 

では、どうやったら、整理できるのか?「ポートフォリオを作りのコツ」でも紹介していますが、ファイルに作品を入れる前にやる大切な作業が、引き出しを整理する事に繋がる大切な作業なんです。

 

自分のタッチを模索していると、イラストのタッチはどんどん増えていきますから、ポートフォリオやHPにアップした作品を定期的に見て整理しましょう。ポートフォリオは、自分の作品の全体を俯瞰視できるツールです。仕事になりやすいものか?自分が好きで描き続けたいものか?を考えると、整理されていきます。